今、社長の人も、これから社長を目指す人も、さらにレベルアップ、スキルアップするためには、何をどうすればいいのでしょうか? 人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『社長の成功習慣』(ダイヤモンド社、9月5日発売)は、経営者になる人にぜひ身につけてほしい50の行動習慣について解説した社長のための教科書です。本連載では、同書から抜粋して、経営者としていっそう成長するためのポイントについてお伝えしていきます。

悪いときはもちろん、良いときも反省し、<br />何が悪かったのか、何が良かったのかという<br />本質を分析する習慣をつけるPhoto: Adobe Stock

「反省と改善」ができるリーダーは少ない

悪いときはもちろん、良いときも反省し、<br />何が悪かったのか、何が良かったのかという<br />本質を分析する習慣をつける小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント 株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行に入行。84年から2年間米国ダートマス大学経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。著書に『ドラッカーが『マネジメント』でいちばん伝えたかったこと。』『社長の教科書』『経営者の教科書』(ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(東洋経済新報社)他、140冊以上がある。

 さて、前回、ご説明したように、みなさんが経営者として何らかの仮説を立て、衆知を集めて意思決定するところまでできたとしましょう。

 このときに注意しなければならないのは、意思決定したことであっても、それもあくまで「仮説」にすぎないということです。

 「経営者が決断したことなのだから絶対だ」などということはありえません。

 たとえば、決断に基づいてプロジェクトがスタートしたとして、「衆知を集めたのだからうまくいくはずだ」と考えて突っ走るのは失敗のもと。

 もちろん、一度決めたことは徹底してやらなければなりませんが、ダメだったらやり方を変える、あるいは引き返すのです。

 スタートした後も、素直な気持ちで仮説を検証し続けることが大切なのです。

 PDCAサイクルを回し、反省し、改善すべきところはどんどん改善していってこそプロジェクト成功の可能性は高まります。

 このようなプロセスを経て仮説の精度を高められるリーダーこそ優れたリーダーなのですが、実際にはこういった「反省と改善」ができる人は少ないのです。

 どうしても「自分が決めた以上は、このまま頑張る」ということになりがちです。

 そして、プロジェクトがうまくいかなくても、リーダーには誰も文句を言えないものです。

 そもそも、誰の考えにも絶対に正しいということはありえません。

 私は講演で話すときも「私の言っていることは、100%正しいかどうか分かりません」「自分では100%正しいと信じて話していますが、あくまでも仮説です」と言っています。

 100%正しい意思決定をやり続けられる人はいないという前提がなければ、どこかで大きな間違いをおかすことになるでしょう。

 反省して改善すべきところを改善するという点に関して付け加えると、反省は「良いときも悪いときも」する必要があります。

 悪いときに反省するというのは当たり前ですが、「良いときも反省する」ということの必要性が理解できていない方もいるかもしれません。