連載の第2回目は、ランチェスター戦略を理解するための14の原則の中から、市場占拠率、射程距離理論、ナンバーワン主義など、特に重要な7つを選んでお話します。最後に、No.1になった企業事例をランチェスター戦略の観点からご紹介していますので、あわせて参考にしてください。

ランチェスター戦略方程式の重要な比率は2:1

 第2次大戦時に作られたランチェスター戦略方程式のポイントは、ランチェスター法則の武器効率(質)の部分にあたる戦闘力を「戦略力」と「戦術力」に分けたことです。

「戦略」とは目に見えないもの、全体計画であり、「戦術」とは目に見えるもの、具体的な武器、作業のことです。そして、最小の損害量で最大の成果をあげるためには、

 戦略力:戦術力=2:1

 が最適であると結論づけました。

 戦略の比率は戦術の比率の倍なので、どんなにいい戦術(武器)を持っていても、戦略が間違っていると成果が上がらないということになります。

 たとえば、釣りをする時に、どんなにいい竿(武器)を持っていても、計画(=戦略)を間違えて魚のいない場所(時間)を選べば、魚が釣れないのと同じです。

 この戦争で使われた考え方をビジネスに活かし、市場競争力の視点から、「市場占拠率(シェア)の目標数値の設定」という考え方が生まれたのです。

市場占拠率の目安は73.9%、41.7%、26.1%の3パターン

 ランチェスター戦略方程式から市場占拠率が導きだされます。

 その中で、ポイントとなる3つの数字がこれです。

 1.73.9%=上限目標値=圧倒的No.1、2位が逆転不可能なシェア
 
 2.41.7%=安定目標値=ほぼ一人勝ち、ホンモノのNo.1の目標値
  
3.26.1%=下限目標値=強者の最低条件、当面のNo.1目標値

 この3つの数字を正確に覚えるのは大変なので、カンタンに覚える方法があります。

 それは、1.が3/4の約75%、2.が40%、3.が1/4の25%と大ざっぱに覚えることです。

 イメージでいうと、1.が時計の3時、2.が時計の5時、3.が時計の9時となります。つまり、シェアを円グラフで書くと、はじめの目標は時計の3時=25%、次の目標が時計の5時=40%、最後の目標が時計の9時=75%と覚えておいてください。

 まずは、小さな市場、小さな商品など小さなところから積み上げていってください。