デンソーの松井靖経営役員は「(グループ内外で)合従連衡は続く。売上高の規模が大きくて、ある一定の開発費や設備投資を用意できる企業が強い。ターンキー(鍵を回せばすぐ使えるぐらいにパッケージ化された製品を納品すること)ができる会社がこの業界で生き残る」と言い切り、再編に向けて意欲を示した。

 豊田章男・トヨタ社長が6月にデンソー取締役に就任したのは、デンソーに対する経営のグリップを強めることで、トヨタ系サプライヤーの再編を促すための布石だとみられている。

 トヨタとデンソーが電子部品事業をデンソーに集約したり、デンソーが手掛ける内燃機関の一部を愛三工業に譲渡したりといったトヨタグループ内の事業整理の動きは、大再編の序章にすぎない。

 では、再編後のゴールはどうなるのか。モルガン・スタンレーMUFG証券株式調査部の垣内真司エグゼクティブ ディレクターは「自動車部品業界では、“(車両を総合的に制御する)ソフトウエアまで担う会社”と“エンジンやモーターを含む駆動全体を請け負う会社”、それから“車内の快適性や利便性を向上させる会社”といった具合でくくり直しが行われていく公算が大きい」とみる。

 トヨタ系サプライヤーは、新興国市場の減速で足元がガタガタと揺らいでいる。その上、ホンダ系部品会社が日立傘下へ実質的に身売りしたように、ケイレツを超えた自動車部品の大再編がすでに始まっている。

 トヨタグループの主要8社は、CASEの大波が押し寄せる中、多少息苦しくてもトヨタグループという「ノアの箱舟」に乗らざるを得ず、完全に自立の道を歩むのは難しい。

 しかも、自社の構造改革を進めながら、トヨタグループという大船が目的地を見失いそうになったら軌道修正するという“超高難度の技”に挑まなければならない。

 船頭であるトヨタ本体の“操縦力”が重要になるのはもちろんのこと、「トヨタグループ内で最も生き残れる確率が高い」(自動車メーカー関係者)と言われるデンソーが果たす役割は極めて大きい。