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新メニューからシェフの引っ越し情報まで!
通好みのレストラン情報サイト「グラブストリート」

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第206回】 2012年7月25日
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 グラブストリートの特徴は、よくあるレストラン情報とは一線を画した「通好み」の情報が満載されていることだ。レストラン情報ならば、ユーザーが人気投票するタイプのものも含めすでにたくさんのサイトがある。だが、グラブストリートは、実際のシェフや食関係者も目を通すような食業界の内輪っぽい話題が多いのだ。

 これは、最近のアメリカでグルメ志向の人々の興味を反映しているとも言える。もうレストラン情報などは当たり前。それよりももっと先へ進んで、シェフたちが何をしているのか、どこのレストランのメニューが新しくなったのかといった、突っ込んだ話題が知りたいと思っているのだ。グラブストリートのニュースが専門記者によって書かれていることも、ユーザー情報やユーザー投票によるコンテンツとは違ったアプローチを示すものだろう。

ニューヨークのローカル雑誌から誕生
ノウハウを生かして全米展開に成功

 ところで、このグラブストリートのもう1つの興味深いポイントは、このサイトが有名な『ニューヨークマガジン』によって運営されていることだ。ニューヨークマガジンは全米でもよく知られているが、基本的にはニューヨークのローカル雑誌。社会、経済、スタイル、ゴシップなど、さまざまな情報を掲載する人気雑誌だ。

 グラブストリートは、ニューヨークマガジンの食関連記事を拡大したようなものだが、その際に全米で展開して足場を広げたわけである。長年築き上げたノウハウを元にして全米に展開することで、これまではニューヨークに集中していた読者をもっと広い地域に拡大し、各都市でもローカルに知られる存在となることに成功しているというわけだ。

 ちなみに、ニューヨークマガジンは、グラブストリートと並んで「メニューページ」というサイトと提携している。こちらでは、各都市を細かな地域に分け、さらにその中でメニューや値段を見ながら、レストランを選んだりデリバリーを注文したりできるようになっている。メニューを見て選ぶという、一歩踏み込んだところが、これまでのレストラン検索とは違った部分だろう。

 アメリカでは、食にこだわりのある人々を「foodie(フーディー)」と呼ぶ。今やフーディーたちは、ただの人気レストラン投票といったものでは満足せず、もっと食のシーンに深く関わりたいと感じている。グラブストリートは、そんなことを思わせるのだ。


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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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