富士ゼロックスの完全子会社化を発表した富士フイルムホールディングスの古森重隆会長兼CEO Photo by Masataka Tsuchimoto

富士フイルムホールディングが米ゼロックス買収断念を表明した直後に、今度は米ゼロックスが米HPに買収提案した。成熟産業のドキュメント業界で、仁義なき再編の波が起きようとしている。富士フイルムHDが逃した魚は大きいが、百戦錬磨の古森重隆会長兼CEO(最高経営責任者)は、転んでもただでは起きなかった。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

商標権、直販エリアを盾にした
“消耗戦”の着地点

 1年9カ月もの間停滞していた富士フイルムホールディングス(HD)の米ゼロックス買収劇は5日、急転直下、幕が降りた。

 買収劇の幕が上がったのは2018年1月。内幕は自社株買いや新株発行を組み合わせるスキームで、キャッシュアウトはゼロ。富士フイルムHDに魅力的なスキームだった。それに対して米ゼロックスの大株主、カール・アイカーン氏ら「物言う株主」が米ゼロックスを過小評価していると反発。同年2月に買収差し止め請求訴訟を起こし、5月には米ゼロックスの新経営陣が合意破棄を通告。交渉は暗礁に乗り上げ、商標権や直販エリアを盾にした応酬に(詳細は後述)、「どこに落としどころを見つけるか」の消耗戦に発展していた。