資生堂は今年のダブルイレブンで1億元(約16億円)以上を売り上げるなど、アリババの販売力の恩恵にあずかる企業の一つ。16年には両社で戦略業務提携を結んでいる。
この提携関係を基に、資生堂がアリババの販売データを活用して開発したのが、「アクエア(水之密語)」というヘアケアブランドだ(写真)。忙しくて毎日髪を洗えない女性向けに、頭皮の汚れを落としやすいシャンプーや、美しいロングヘアにしたい人のために枝毛ケア用ヘアオイルといった商品を2社で共同開発。9月からアリババのECサイトで独占販売しており、これまでに目標を上回る販売実績をたたき出しているという。
資生堂の藤原憲太郎中国地域CEO(本社執行役員)はダブルイレブンの会場で、「中国は最も重要な市場」と明言。その上で、アリババとの関係はもはやECサイトで販売することにとどまらず、アリババのビッグデータを通して中国の消費者を理解し、そのニーズに合った商品を開発する域に入っていると説明した。
広大かつ13億人もの人口を抱える中国では、地域・世代で消費の傾向に大きな違いがある。この違いは対面のヒアリングなどの従来のマーケティング手段ではとても捕捉し切れない。それがアリババなら、消費者について非常に細かいデータを持っている。これがパートナーとしての魅力だという。
さらに資生堂は今後、ITを使った事業変革・改善手法をアリババから学び、自社のデジタルトランスフォーメーションにつなげていくという。「中国から新しい価値を生み出す。中国から発信し、グループに貢献する」(藤原中国地域CEO)。技術力、経営力を増す中国ハイテク企業の真価が、ダブルイレブン商戦とアリババ1社に凝縮して表れている。