かつて世界最大の商戦日は、米国のブラックフライデーだった。近年、それに取って代わったのが中国のインターネット通販商戦、双十一(ダブルイレブン)。巨大市場の消費者がアパレル製品を、家電製品を、化粧品を買いまくる。そしてその背後には、着々と競争力を高める中国ハイテク企業があった。
(ジャーナリスト 高口康太)
世界最大の商戦日、それが中国の「双十一」(ダブルイレブン)だ。数字の1が四つ並ぶ11月11日を「独身の日」として、友達同士で盛り上がる若者文化がもともとあった。そこに目を付けたアリババ・グループが2009年、インターネット通販(EC)の大型セールを始めたのがきっかけ。彼、彼女がいなくても買い物できれば楽しいぞ、という趣旨はやや痛々しいが、今となってはそんな発端など、どうでもいいぐらいの巨大セールに発展した。
今年は前年比1億人増の5億人がアリババのセールに参加。GMV(流通総額)は前年比26%増の2684億元(約4兆2944億円)と、過去最高を更新した。発送された荷物の数も膨大。12億9200万件と前年よりも2.5億件の増加となっている。
今ではダブルイレブンのセールは、JDドットコム(京東集団)やピンドゥオドゥオといった、複数の中国EC事業者も大々的に展開している。こういったEC業者を合わせたGMVは4101億元(約6兆5616億円)で前年比30%増の成長を記録している(中国国際金融の調査)。だがこの中でアリババ1社が7割弱を占めていることを考えると、やはり突出した存在だ。
金額にばかり目を奪われがちだが、アリババはこの日を自らの技術力の限界を試し、さらに成長させる機会として位置付けている。