「父は酒もタバコもやらず、革づくりが大好きな人で、当時、東京にあったタンナーにコードバンのつくり方を学び、その後、1人で研究し、技術を確立しました。父と母がここまで一緒に頑張ってきたのを、僕の代で途絶えさせたくはないと思いました」

 近畿大学卒業後、フランスに渡り、語学と皮革の専門学校で3年半学んだ。帰国後、コードバンの仕上げ工程に力を入れ、評価を高めた。現在は専務だが実質的に新喜皮革の経営を担っている。

 そのうち、製革だけでなく、消費者と直接接する皮革製品の製造も手がけたいと考えるようになり、近隣のカバン制作の教室で3年ほど縫製を学んだ。

「そこで学んだのは、1人では売れる商品をつくることはできないということ。デザイナーや縫製など色々な人と協力しないとつくることはできません。そう思っていたときに、当社の顧客でもあったデザイナーの米田浩氏と意気投合し、一緒に製品製造会社を設立したのです」

製造販売で顧客の声も重視
旗艦店の売り上げは順調

LAや香港の見本市にも出展
LAや香港の見本市にも出展

 新田は、2010年に株式会社コードバンを創業し、米田が常務に就任した。米田は2002年から新喜皮革と取引して、TWCMブランドで皮革製品の製造販売を行っていた。新会社設立後もそのブランドを引き継ぎ、カバン、財布、ベルトなどを製造し、デパートを中心に現在、旗艦店2店舗を含む8店舗を運営している。

 2017年には大阪・梅田にあるファッションビル「イーマ」に旗艦店を出店、魚の革でつくった製品も販売している。売り上げは順調に伸びているという。

「直接、お客さんの声を聞けるようになり、製品の改善も行っているが、さらに品質を上げたい」と新田は語る。

 TWCMブランド製品も、これまでイタリア、スイス、アメリカの展示会に出展してきたが、「関税がかかり、単価が高くなるので、簡単には売れない。今は製品の海外進出は一時休憩し、まずは国内の販売を強化したい」と新田は語る。EUとは2019年2月からEPA(経済連携協定)が発効したので、今後は関税の引き下げも期待できる。