この動きを主導しているのが大企業です。彼らの退職給付制度は大きく変貌を遂げており、2008年は確定給付型年金が70.7%、確定拠出型年金が26.9%だったのに対し、2018年には確定給付型年金が48.4%、確定拠出型年金が50.5%と確定拠出型年金の割合が劇的に増加しています。つまり、大企業の人も年金制度があるからといって安泰ではなく、自分で年金を増やしていかなければならないのです。

 でも、残念ながら多くの人が何もしなかった結果、悲惨なことが起こっています。2017年度末の企業型確定拠出年金の加入者の運用リターン分布をみると、運用リターンが0~1%の人が約40%、元本割れの人は約10%もいます(出所:年金情報)。2017年までは株式市場は好調でしたが、それでもこのような体たらくな状況ですから、足元の2019年まで見ればもっと運用リターンは悪化しているでしょう。資産運用について一人ひとりの意識改革が必要だと思います。

共助から自助への意識改革

 ここまで、退職給付制度を取り巻く環境が大きく悪化していると説明しました。年金制度でも、個人が自己責任で運用しなければならない確定拠出型年金の割合が高まっている中で、その環境変化に個人の意識改革がついていけていない状況となっているようです。もはや昔のように会社が何から何まで守ってくれる時代は終わっていることを認識し、老後の生活は自分自身で守っていくというスタンスが必要だと思われます。幸いなことに、それをサポートするNISAやiDeCoなどの公的な制度も徐々に充実しつつあります。これらの制度を活用して早いうちに行動に移してみませんか。

今回の川柳
退職金 過度な期待は 禁物です

(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。