村津は時計を見た。

「きみも手伝うんだ」

 村津について国交省に向かった。

 国交省の前に来ると、通りに向かって手を上げた。

 角に停まっていた大型バンが動きだし、2人の前に止まった。

 バンの助手席には長谷川が座っている。運転しているのも長谷川設計事務所で見たことがある若い男だ。

 バンのスライドドアが開き、早苗と2人のやはり見覚えがある男が降りてきた。

 3人で慎重に約1.5メートル四方の箱を下ろした。

「きみも一緒に部屋に運んでくれ。私は次官を呼んでくる」

 森嶋が箱を支えると、早苗が目で挨拶を送ってくる。

 4人で箱をエレベーターに運び込んだ。

 会議室には首都移転グループ全員が集まっていた。

 中央のテーブルには長谷川たちが運び込んだ箱が置かれているが、まだカバーが掛けられたままだ。

 村津の横には三河国交省次官が座っていた。次官と長谷川は面識があるようで、短い会話を交わしている。

 村津は長谷川をグループの者たちに紹介した。半数以上の者が驚いた表情を隠せない。残りは知らないのだろう。

 早苗たちの手によって箱のカバーが取られた。