味の素 「残業ゼロ」改革
『味の素 「残業ゼロ」改革』 石塚由紀夫 著 日本経済新聞出版社 1600円(税別)

 本書『味の素 「残業ゼロ」改革』には、その画期的な働き方改革の取り組みが詳細に紹介されている。

 著者の石塚由紀夫氏は、日本経済新聞編集委員。女性活躍推進やシニア雇用といったダイバーシティ(人材の多様化)、働き方改革など企業の人材戦略を30年以上にわたり取材・執筆してきた人物だ。

 プレミアムフライデーのように、月に1回程度の労働時間短縮(時短)だけでは、働き方改革も生産性向上も、とうてい望めない。その日は早く帰れても、その分、別の日に残業してカバーするというなら元も子もない。

 そんな小手先ではなく、根本的に日々の業務の内容ややり方を見直し、全体の業務量を最適化するところから始めなくてはならない。その上でプレミアムフライデーを導入しなければ、あまり効果は望めない。

 本書によると、味の素の大幅な時短を含む大改革を先導したのは、2015年に就任した西井孝明・代表取締役社長だ。

 西井氏は、就任直後から「残業ゼロ改革」をスタート。前年は1996時間だった平均年間総実労働時間を1800時間に短縮するという数値目標も掲げた。

 そして実際に2018年度には「1820時間」に。ほぼ有言実行であり、改革スタートからわずか4年で176時間の削減に成功したのだ。

 176時間といえば、1カ月分の労働時間を超える。それで会社が回るのか、心配になるほどの削減だ。

 しかし味の素では会社が回らないどころか、社員1人の時間当たり売上高(人時売上高)は、2015年度から15%増えているという。