とはいえこのガイドラインは、ダイヤモンド編集部が「セブンの時短ガイドラインににじむ『24時間営業を死守』の本音」(11月7日付)で報じたように冒頭部分に「従来通り、24時間営業を期待してご来店されるお客様がいらっしゃる点にも十分留意し、慎重にご検討ください」と明記されている。さらに時短営業を始める前に、SEJ本部が用意した求人システムを活用して人手を確保することや、店舗の周辺の世帯数や事業所の従業員数を把握することを要求するなど、多忙な加盟店の実態にそぐわない努力を求めている。

 永松社長は「時短営業をするかどうかの決定権は加盟店に委ねている」と繰り返し述べている。しかし、ガイドラインでは時短営業について「本部との合意」が必要とされており、土地の貸主の意向で時短営業ができない可能性を挙げるなど、加盟店側の裁量を認めているとは到底言えない内容となっている。

 本部の本音はあくまで24時間営業を“死守”すること。加盟店の過半数が、将来24時間営業を続けられるか分からないという不安を抱えているといった、ネガティブな要素の公表は渋っている。こうとらえられても仕方がないだろう。

ファミマは本部の同意なしで時短が可能に
セブンは無断発注でガバナンスの欠陥露呈

 SEJのスタンスと対照的なのはファミマだ。11月15日、経済産業省で開かれた有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」の席上、ファミマの澤田貴司社長は、本部の同意がなくても加盟店の判断で時短営業を始めることができるよう、加盟店とのフランチャイズ契約を見直す方針を説明した。

経産省の有識者会議に参加したSEJの永松社長(左端)とファミマの澤田社長(右端) Photo by Satoru Okada

 澤田社長は、「加盟店が(時短営業を)やりたいと言ったら、我々が全面的に合わせる。(本部側に)コストが発生する可能性はあるが、それでも運営できるとみている」と述べ、SEJよりさらに踏み込んだ。

 その一方で、同会議に出席したSEJの永松社長はミソをつけた。検討会直前の11月13日、SEJの本部社員がオーナーに無断で商品を発注するケースが横行していると報道されたことに対して、委員から見解を求められた永松社長は「あってはいけない問題だ」とした上で、実際に無断発注をした社員2人を懲戒処分にしたことを明らかにした。

 そして、検討会終了後、報道陣に対して永松社長は、「本部社員に売り上げなどのノルマは課していない」と述べたが、無断発注の要因については「数字に追われてプレッシャーがあったのではないか」と、ノルマの存在を“肯定”するようなちぐはぐな回答に終始した。

 前出とは別のセブンのベテランオーナーは、「永松社長はもともと人事担当幹部で、過去の処分を把握していたとの報道もあった。このまま社長を続けることが許されるのか」と語気を強める。

 無断発注や時短潰しは、上層部が現場をグリップできていないというガバナンスの問題であり、これはこれで深刻だ。ただ、加盟店向けのアンケートを実施したにも関わらず、本部に都合のよい結果しか公表せず、前出のガイドラインを作成したのは、永松社長ら本部の中枢である。

 あるコンビニ大手首脳は、「コンビニのあり方に批判的な意見にも耳を傾けなければ、ますます社会の価値観から離れていく」と危機感を募らせる。HDの井阪隆一社長や永松社長に、どこまでその覚悟があるのだろうか。