もはや過当競争は否定できまい。コンビニエンスストア大手3社の2020年2月期中間決算が出そろった。売上高は横ばい、コストを抑えて利益を確保する構図となり、従来のような店舗拡大による成長が今後は見込めない現実を突きつける結果となった。そんな中、最大手のセブン-イレブン・ジャパンが打ち出したロイヤルティー料率の見直しが、消耗戦の中で優位性を確保する方策となるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 岡田悟)
セブン、ファミマはコスト削減頼み
売り上げは軒並み伸び悩み
今や全国で5万店を超え、これまで右肩上がりで店舗数を増やしてきたコンビニエンスストア業界。「飽和している」との批判に対して、それを跳ね返す成長力を見せつけてきた。しかし、10月10日に出そろったコンビニ大手3社の2020年2月期の中間決算はようやく、成長の時代が終わり、本格的な消耗戦への突入を予感させる内容だった。
業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)と2位のファミリーマート、3位のローソンのコンビニ事業はいずれも、店舗全体の売上高を示す「チェーン全店売上高」や加盟店からのロイヤルティー収入が大半を占める「営業収益」がほぼ横ばい。売り上げを伸ばすよりも、コストを削減して利益確保を迫られる構図となった。
ファミマは、過去に経営統合したサークルKサンクス(CKS)とのシステム統合によるコスト削減や、1日当たりの売上高が低かったCKS店舗の売り上げ増加などにより、大幅な増益となった。SEJも販管費の伸びを前年同期より抑えたことで、わずかに増益となった。
コンビニ業界「飽和説」の
セブンも出店抑制を強いられる現実
コンビニ業界は飽和しているのか――。ファミマの澤田貴司社長が16年の就任以来、飽和していると盛んに主張して来たのに対し、SEJを擁するセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は10日の決算会見で「飽和はないと私はまだ思っている」と述べ、見解が分かれた。
ただし、これまでのように店舗数をひたすら拡大して本部が増収増益を測ることがもはや不可能であることは、SEJの出店戦略を見ても明らかだ。過当競争に陥っていることは否定できまい。
コンビニの出店戦略をめぐり、SEJの古屋一樹前社長(現会長)が「拡大均衡」と訴えて来たSEJとローソンは、19年2月期まで店舗数の拡大に邁進して来た。
コンビニ加盟店はフランチャイズ契約のため、店の従業員の人件費と食品の廃棄コストの大半は加盟店オーナーが負担する。人手不足により人件費が高騰しても、本部は出店を増やせば、簡単に増収増益につなげることができた。
ところが、出店増による競争激化で売り上げの低迷に苦しむ一部オーナーの“反乱”や世論の批判もあり、規模の拡大によって成長を目指す戦略は修正を余儀なくされている。今期の出店戦略について、SEJは20年2月末で沖縄県を除き前年同期比100店増、ローソンは純増ゼロの計画だ。