米中関係の緊張化は投資家が考えるほど世界の貿易に重要ではないのかもしれない。米中貿易紛争に関する話題がここ1年半、新聞の見出しや市場リポート、企業の役員会議室を独占してきた。しかし、今回の関税引き上げで一番はっきりしたのは、一国だけで世界貿易の秩序を変えるのは難しく、それは米国のような世界経済の中心を占める国でも例外ではないということだ。中国は貿易紛争前から世界の輸出市場でシェアを失いつつあり、それはほぼ同じペースで今も続いている。米国の世界の輸出市場シェアは、2000年代初めに長期間にわたって減少したあと、金融危機後の数年に約9%で安定した。国際通貨基金(IMF)のデータによると、ドナルド・トランプ米大統領が18年初めに中国との関税合戦を開始した際、シェアは8.7%の水準にあった。19年4-6月期(第2四半期)には、同じく8.7%だった。