取締役関連では、取締役の報酬に関する規律の見直しも盛り込まれている。具体的には、取締役の報酬のうち金銭以外のものについては軒並み上限を設けることとし、金銭については最低でも方針を定めなければならないこととしている。これは一見すると取締役が過剰な報酬をもらうことを防止するため、社会的な批判をかわすためのもののようにみえるが、その真の目的は、投資家や投機家への配当を増やすための報酬の制限であり、方針の決定や概要の開示は、投資家や投機家向けの情報公開、自分たちの意にそぐわないことがないかどうかを確認できるようにするためのものということであろう。

 報酬としての株式の保有数についても、取締役に過剰に株式を保有させないためのものということであろう。つまりは自分たちの意のままに会社組織を動かし、配当を捻出させるための仕組みを強化するものであるといえよう。

 役員等の責任を追及する訴えが提起された場合等の会社補償に関する規定、役員等賠償責任保険契約に関する規定の整備は、これは端的に言って、取締役をさらに投資家・投機家の意のままにするための「アメ」であろう。しかも補償についても、役員のために締結される保険についても、いずれも株主総会による承認の対象外である。一方で、これらの規定整備についても、経済界、特に電力業界からの強い要請によるものとの話が永田町では聞かれるようである。

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株式交付制度

 そして、社債の管理等に関する規律の見直しについては、社債の管理に関する規律が見直される他、株式交付制度の創設が盛り込まれている。

 この株式交付制度とは、現行法では自社の株式を対価として他の会社を子会社とする手段として株式交換制度があるものの、完全子会社化する場合でなければ利用することができなかった。それをそうではない場合でも、株式会社が他の株式会社を子会社とするために自社の株式を他の株式会社の株主に交付することができるようにするというもの。