要は「完全ではなくとも子会社化させてやるから、お前(親会社)の株をよこせ」というもので、要するに投資家、投機家によるマネーゲームをさらに容易にしようというものということであろう。

「子会社化してもいいが、俺たち(投資家等)の言うことはある程度聞けよ、分かってんだろうな」を可能とするものであるとも言える。

 そうだとすれば親会社株はまるで人質である。

 これが「企業統治改革」なのだとすれば、投資家・投機家が思いのまま、勝手気ままに企業を「統治」するための制度改正としか言いようがない。これで日本経済が良くなるわけがなく、得をするのは投資家・投機家、泣きを見るのは経営者を含めたサラリーマン、関連企業である。

 この十数年で進められてきた企業統治改革、コーポレートガバナンス改革は、設備投資と従業員給与の削減を中心としたコストカットを通じて生まれた利益を配当金に回すという「株主資本主義」が徹底されただけであり、日本経済社会全体の活性化にはつながっていない。

 今回の会社法改正案が可決成立し、その内容が実現すれば、日本の経済社会の破壊や日本人の貧困化はますます進むことになるだろう。

 こんな法案は絶対に通してはいけないのだが、与野党を問わず、こんな中途半端な社外取締役制度では企業のガバナンスは確保できず、企業内の不正がなくならないどころか天下りを呼びこむことになるといった真逆の頓珍漢(とんちんかん)な問題意識をお持ちの議員の方々も少なくないと聞く。

 もしそうであれば絶望的にならざるをえないが、「時すでに遅し」となる前に、まずは会社法改正案の問題点を把握し、国会での審議にはぜひ関心を持ってほしいところであるが、大して話題にもならないまま、11月26日に会社法改正案は衆院本会議で賛成多数で可決されてしまった。

 しかも、反対したのは共産党のみ。立国民会派は 株主提案権の乱用的な行使を制限するための措置に関する改正規定中不当な目的等による議案の提案を制限する規定の新設に係る部分を削ることのみを内容とする修正案を提出、これに与党側が相乗りしたことで反対しにくくなったのか、そのままズルズルと賛成する格好となったようだ。

 与党側、特に自民党はよほど成立を急ぎたいのだろう。そうした状況であれば、野党は自民党の足元を見てさらなる譲歩を迫り、法案を骨抜きにすることもできただろうに、なんとも情けない。参院での審議に望みをつなげたいが、期待薄か。