「日本化」という妖怪、投資家は恐れるな
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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 今年は世界中で債券利回りが急落したことを受け、「日本化」という古くからの妖怪が再び市場に出没し始めている。白川方明・日銀前総裁も先月行われた講演でその危険な見通しについて警鐘を鳴らした。

 「日本化」とは、低成長、インフレ不在、硬直化した金融市場を総称するキーワードだ。しかし日本経済はその危うい評判の割に好調であり、人口縮小に直面していることを考えればなおさらそう言える。また金融市場は他のほとんどの国と比較して、手堅い投資機会を提供している。

 理由の1つは、日本は労働者の生産性向上が非常にうまくいっていることだ。労働1時間当たりの国内総生産(GDP)で計算した日本の労働生産性は2010年以降、伸び率が他の先進7カ国(G7)を上回っている。G7平均が5.8%であるのに対して、日本は6.5%だ。日本は女性や65歳以上の高齢者を中心に労働参加率を引き上げ、労働人口も数百万人増やしている。

 日本の労働年齢人口(通常15~64歳の人口を指す)1人当たりの実質GDPは2007年以降、他のG7諸国を上回るペースで成長している。同期間の日本全般の1人当たりGDP伸び率は7.1%と米国の9.4%と比べてさほど悪くはなく、英国の4.3%を上回っている。