一井:ゲームを作り続けていこうと思ったら、やっぱりお金が必要です。特に、高機能な家庭用ゲーム機のタイトル制作費はいくらあっても足りない。自分たちでゲームを作って自分たちで売って、そのお金でまたゲームを作るわけですから、いいゲームをずっと作ろうと思ったら稼がないといけない。稼ごうと思ったら、ゲームの評判がよくないと稼げない。ですから、先ほども申し上げたとおり、あらゆる端末でのお客様との信頼関係の構築は重要なのです。

石島:つまり、カプコンはソーシャルゲーム市場を含めたありとあらゆる端末で、コンテンツを本気で作りに行くということですね。

一井:そうです。あえて普通に言いますけど、カプコンのブランドは全部、スマホやタブレットでも遊べていいのではないかと思っています。ただし、ゲームの遊び方が家庭用と同じになるとは限りませんし、端末の特徴によって変わることは当然です。

 なかでも、タブレット端末に対する施策は軽視できません。現在、すでに北米で、アプリのダウンロードの3~4割はiPad用です。カプコンも、同地域でのモバイルのコンテンツの売り上げのほぼ4割がタブレット。逆に言うと、タブレット向けにちゃんと設計されていないゲームは売れない。今後、この比率はもっと高くなっていくと思います。

石島:基本的には「タブレットを重視した全方位外交」、でしょうか。

一井:言い換えれば、お客様のライフスタイルに合わせた開発とも言えますね。家で腰を据えて大画面で綺麗なグラフィックで夜、2~3時間やりたいというニーズがある一方で、外出中20分くらい暇な時間があって、そこでゲームを遊びたいというニーズもある。つまり、人によって時間の使い方が違うわけです。

 あるいは友達と一緒にやるゲームで、それなりに遊び甲斐がないとダメっていうのもあります。コンテンツの性格もいろいろある。ただ私は、皆さんがお持ちの複数の端末をどれでも、時間の使い方に応じてゲームに直結させてあげていたいなって思うんですよね。このデバイスを持っている時間は、カプコンのゲームができないということは避けたい。ある一定の時間をそのデバイスに使っているなら、その時間は遊んでいただけるゲームを提供していたいなと。