――筆者のアンディ・ケスラーは「インサイドビュー」欄担当コラムニスト
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最近は誰もがテクノロジー企業になりたがっているようだ。しかし、どの企業の株価も利益の40倍、売上高の15倍の価値がある訳ではない。そうしたバリュエーションを維持できそうな成長企業を見分けるにはどうすればいいだろう。さらに言えば、ウィーワークの騒動があった今、高く評価されるテクノロジー企業の資格とは一体何だろうか。
どんな会社もテクノロジー企業を名乗ることは可能だ。実際、ロングアイランド・アイスティーは2017年に社名をロング・ブロックチェーンに変更し、株価は13ドルに400%上昇した(現在の株価は0.16ドル)。しかし、カミソリや眼鏡、マットレスを売っている会社はハイテク企業たり得るのだろうか。エクササイズバイク、保険、もしくは広告はどうだろう。
筆者は、投資家が検討すべき本物のハイテク企業の特性5項目を考えた。G=Growth(成長)、Ru=Research and development(研究・開発)、M=Margins(利益率)、P=Productivity(生産性)、S= Spending(支出)だ。その頭文字をとってGRuMPSとする。それぞれの項目に1ポイントずつ付与し、十分なポイントを集めれば「高価な賞」が当たる。5ポイントを獲得した企業なら、新規株式公開(IPO)の当日だけでなく、長期にわたり高いバリュエーションを維持できるはずだ。
高い成長(G)
レモネードスタンドの自動化プログラムを友人2人で書いている場合、それはハイテクとは言わない。筆者が魅力を感じる成長とは、通常はスケールによってもたらされるものだ。つまり、消費者に強く求められているビジネスモデルのコストを低減するテクノロジーを意味する。インテルはコンピューティングのコストを低くした。フェイスブックは消費者にリーチするコストを、セールスフォースはソフトウェアを使うコストを低くした。価格が下がっても、それを上回るペースでスケールが拡大するため、急速かつ持続可能な成長を手にできる。市場シェアのような偽の成長には気を付けよう。収容人数5万席のスタジアムに座席のクッションを売っている場合、毎年売り上げを倍増させられるかもしれないが、いずれクッションのない座席はなくなる。そうではなく、巨大な市場を探すべきだ。
高い研究・開発(Ru)
技術が止まることは決してない。今の人気製品は1年たたないうちに陳腐化する。トップの座を守るためには、巨額の研究・開発費用が決定的に重要だ。スケールする知的財産を探求しよう。企業は利益を押し上げるために研究費用を減らすことがあるが、それは深刻な危険信号だ。
高い利益率(M)
最高の製品は消費者にとって大きな価値をもたらすものだ。そして、その価値と実際の製造コストはほぼ無関係であることも多い。これは投資家が夢中になる要素だ。なぜなら、高い利益率によって莫大な研究開発費や、新市場を創出するためのマーケティングが可能になるからだ。売り上げが急成長していても、利益率が下がっているときは疑ってかかろう。実際のところ、理想的なハイテク製品は、流通コストはかからず、ソフトウェアのように限界費用はほぼゼロだ。確かに開発には多額のコストが必要だが、顧客はサーバー上でソフトを動かすことができる。数十億ドルの製造施設を持つ半導体さえ、限界費用は非常に低い。販売数量を1個増やせば、その売り上げの多くは利益になる。ソーシャルメディア上の広告も同じだ。