事実、多くの報道では1階部分の枠について「低リスクの投資信託で積立をする」と表現されているが(これもマスコミの報道のみの表現で、金融庁はそんなことは言っていない)、投資信託は決して低リスクなわけではない。一般的には低リスクと表現されている債券型投資信託も、今まで金利が上昇していなかったからよかったが、もし今後金利が急騰するような場面が出てきた場合、大きく価格が下落することもあり得る。

リーマン級の下落相場は
いずれ必ずやってくる

 全てのリスク商品を、単純なカテゴリーのみで高リスク、低リスクと決めつけることは決して正しいことではない。将来の不確実さを受容することがリスクを取るという意味なのであるから、それが受容できないのであれば投資はしない方が良いだろう。

 筆者が懸念するのは、投資信託で「長期・積立・分散」教さえ信仰していれば、お手軽に資産形成ができるという風潮が広がり過ぎないかということだ。

 2012年以降、途中の紆余曲折はあっても市場は順調に右肩上がりを続けてきたため、おおむね成功した体験を持つ人は一定数いる。ところが昨年、2018年の10月~12月のマーケットの下落時には、積立投資をしている多くの人が止めたり売却したりしている。もし今後、リーマンショック級の下落が来た場合(それはいずれ必ずやってくる)、そこで大きなダメージを受ける人は増えることだろう。

 実際には、そういう市場の大きな下落はあったとしても投資し続けることでリカバリーは可能なのだが、投資の基本知識とリスク耐性を持たないまま、安易に投資することで、大きな損失を被ったままマーケットから退出していく人が増えることは容易に想像できる。筆者は過去40年以上にわたって株式市場の動きを見続けてきたが、その間にリーマンショックのような大きな暴落は4~5回ほど経験している。いつの時も同じように、多くの投資家が失望と共に市場を去って行った。

 資産形成のために投資を活用することは決して悪いことではない。それだけに、ただ制度の拡大で投資へ誘引すること以上に、投資に対する正しい基本的な知識をさらに広めていくことが必要なのではないだろうか。