2019年もいよいよ終わりに近づいてきた。まもなく迎える2020年の景気は今年に引き続いて「薄曇り」であろう。しかし、油断はできない。米国や中国の混乱に要注意である。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
2019年の景気は「薄曇り」だった
2018年の年末と比べると、今の景気は若干悪化しているようだ。米中貿易戦争の日本への直接の影響はそれほど大きくないようだが、米中関係が単なる貿易戦争から「覇権を懸けた米中冷戦」へと様相を変化させている。それにつれて、世界中の企業が「先行き不透明なので、様子を見るために投資は1年待とう」などと考え始めていることが悪化をもたらしているようだ。
もっとも、国内景気の水準は引き続き相当高いと言って良い。失業率を見ても企業収益を見ても、「曇天」とは言い難い。ただし、昨年ほど「快晴」とも言い難いので、「薄曇り」と表現しておこう。
10月の経済指標が悪かったことから、景気を心配する声は大きいが、経済指標は振れるものなので、一喜一憂せず、11月分と12月分を見てから判断したい。
筆者としては、消費増税の規模が前回より小さかったこと、ポイント還元等々の景気対策が講じられていることなどを考えると、消費増税の影響は比較的小さく、景気がそれほど悪化しているという認識は持っていない。
10月は消費増税の駆け込みの反動に加え、大型の台風19号の影響もあり、消費が大きく落ち込んだため、ダブルパンチとなった。しかし、11月以降は悪くない数字になると考えている。
11月、12月の数字も悪ければ、筆者は大いに反省し、誤った認識に至った原因を必死に探すこととしよう。