第二次世界大戦でフランスを戦勝国に導き、戦後、第五共和制の創始者となったドゴール元大統領は、多くの歴史的名言を残している。
彼の名言は、彼自身の行動の中で生まれたものであり、また彼の行動によって証明されたものでもある。
その中でも、私の頭に深く刻み込まれているのは、(1)「真実から発した行動でなければ成功はない」と、(2)「歴史は危機にさしかかったとき、それをコントロールできる人材を前面に押し出す」という2つの言葉だ。
(1)はもちろん特に指導者の行動について述べたもの。だからこそ人類史は続いてきたとも言えるほどの古今を貫く政治の鉄則である。
突き詰めれば、民主党政権の失敗の真因もそこにある。
(2)には、いくつもの歴史的危機を指導者として乗り切ってきたドゴールの自負心も滲み出ている。
ナチ・ドイツによる占領を許した祖国フランスに抵抗し、一握りの同志たちとともにフランスの奪還に挑戦し、それを成功させた自分自身の姿を投影している。
今の歴史的危機を乗り越えられる
指導者、政治集団を欠いた日本
今の日本が、政治的にも経済的、社会的にも、さらには精神的にもかつてない危機に直面していると言っても異論がないだろう。
この危機は、単に政治家や官僚、あるいは大組織の指導者だけが意識しているものではない。むしろ、一般人のほうがより深刻に受け止めているほどの歴史的な危機である。
しかし、この危機を乗り切ることができる指導者や政治集団が用意されているかと言うと今のところはそうなってはいない。