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経済学者や経営学者、エコノミスト107人が選んだ2019年の「ベスト経済書」をランキング形式でお届けする「ベスト経済書2019」(全4回)。第2回は、第2位にランクインした『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』を紹介。内容の解説や著書に込めた思いなどを著者自らが書きつづった。(ジャーナリスト 佐々木 実)

ベスト経済書2019 第2位【64点】
資本主義と闘った男
宇沢弘文と経済学の世界
(佐々木 実著)

ささき・みのる/1991年大阪大学卒業、日本経済新聞社入社。95年退社、フリーランスに。著書に『市場と権力「改革」に憑かれた経済学者の肖像』などがある Photo by Koji Takano

 宇沢弘文と初めて会ったのは15年前、竹中平蔵の人生を追った評伝『市場と権力「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社刊)の取材の過程だ。竹中は若い頃、宇沢が指導する研究機関に在籍していたことがあった。

 竹中の話は早々に切り上げ、私はこの碩学にぜひとも聞きたかったことを尋ねた。経済学という学問、経済学者という職業的専門家に対する疑問についてである。

 今でも不思議に思うのだが、一知半解であることぐらいすぐに分かったはずなのに、宇沢は至極真剣な面持ちで私の話を聞いていた。ある質問をした際、絶句して黙り込んでしまった姿を今も鮮明に覚えている。私にとって、宇沢の第一印象は鮮烈なものだった。