経済においてバブルは幾度となく膨張と崩壊を繰り返してきた。世界経済の減速傾向が強まる中、再びその危険性が高まっている。どうすればその崩壊の予兆を察知できるのか。まずバブルとは何かを検証する。
米国が対中国輸入品全額25%関税なら
来年の成長率は0.5%ポイント低下
2019年、世界経済は、米中貿易戦争が収束を見せない中、成長減速がはっきりしてきた。6月5日IMF(国際通貨基金)は、米国と中国の貿易戦争が世界経済の成長率に与える影響について最新の分析結果を公表した。中国からの輸入品の全てに25%の関税をかける「第4弾」が発動された場合、既存の関税引き上げの影響を合わせると、20年の世界経済の成長率は0.5%ポイント押し下げられる。
貿易戦争の当事者である中国経済への影響は1%ポイントのマイナスだ。今年3月に開催された全国人民代表大会では、中国経済の成長見通しは18年の「6.5%前後」から「6.0~6.5%」へと2年ぶりに下方修正された。しかし現状6%成長の維持は困難である。5%台への低下はほぼ確実、状況によっては5%台の維持も困難になるかもしれない。
米国では、08年の世界金融危機、リーマンショックの後から始まった景気の拡大期が10年を超え、既に11年目に入った。これは記録が残る1850年代以降過去最長だが、輸出、設備投資、住宅投資に弱さがうかがわれるなど変化の兆しがある。
FRB(米連邦準備制度理事会)は当初、政策金利を3.5%まで引き上げることを目指していたが、7月には景気が拡大する中で逆に利下げを実施するに至った。声明文では、利下げの背景として、グローバル経済の鈍化懸念、インフレの低迷、さらに先行きの不確実性が指摘された。IMFの見通しでは、貿易戦争の結果、いずれにせよ米国経済の成長は0.2%ポイント程度下方修正される。