当事者だからこそ
分かる感覚を大切に

 子ども向けではあるが、少し背伸びをしたテイストに仕上げた『こども六法』。山崎さんのなかで、そのこだわりが最も反映されているのが、なんと、「カバーを外したときの表紙」のデザインだという。

カバーを外せば、「デキる風」のクールな装丁に

「カバーのイラストは、販売戦略などの理由から児童書らしいデザインにしました。でも、かわいすぎる装丁の本を持ち歩くことに抵抗がある子どももいるのでは、と思ったんです。特に男の子は嫌がるかな、と。だから、カバーを外したデザインは辞書っぽくて『デキる風』のクールな装丁にしてもらいました」

 さらに山崎さんは、いじめ被害経験者という側面からも、執筆時に気をつけたことがあるという。

「巻末に『いじめで悩んでいるきみに』というメッセージを載せています。そのなかで『いじめの証拠を残そう』と伝えていますが、これは監修者の方のアドバイスもあり、残せない子が多い前提で、『残せる子は残してください』という表現を意識して書きました。いじめの被害経験者ほど、『こうやって戦え!』と、強い言葉で訴えかけたくなる気持ちは分かるのですが、それが逆に子どもを追い詰めてしまうことになりかねませんから。あくまで選択は子ども自身に委ねるように意識しましたね」

 被害者ほど加害者に転じやすい。明確な根拠はないものの、自身の経験からそうした危険性を感じるという山崎さんは、子どもを追い詰めない言葉遣いに注意を払ったという。