「ネコ活」のススメ、猫に癒される暮らしを始めるための基礎知識ネコには見ているだけで人を癒す、不思議な魅力がある

根強いネコブームの背景に
「癒されたい」人たちのニーズ

 日本のビジネスパーソンは多忙だ。30代を過ぎ、40代、50代ともなれば、日常のあらゆる場面で責任が増してくる。職場では上司と部下の板挟みになり、自宅に帰れば子どものお受験や親の介護が待っている。

 多忙な背景には、共働き世帯が増えた影響もある。昔のように夫と妻の役割分担はなくなりつつあり、社会と家庭の全ての責任に男女が等しく向き合うのが当たり前となった。息の抜けない毎日が続くなか、ビジネスパーソンは男女を問わず、「癒し」を強く求めている。

 堅調なペットブームは、まさにそんな空気の中で起きている。医療でアニマルセラピーの有効性が指摘されることからもわかる通り、動物の「癒し効果」は侮れない。哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類に至るまで、癒しを求めて動物を飼う家庭は増え続けている。少子高齢化の影響もあり、今やペットは「家族の一員」として遇されるようになった。

猫を抱いた女の子いまやネコは、家族の一員という位置づけ

 最も人気のあるペットといえば、不動の地位にあるのがイヌ(犬)とネコ(猫)だろう。一般社団法人ペットフード協会の『令和元年(2019年)全国犬猫飼育実態調査』によれば、イヌとネコの飼育頭数は約1900万頭と、すでに日本の15歳未満の子どもの数(約1600万人)を上回っている。

 なかでも、ここ数年、衰えることなく続いているのがネコブームだ。前述の調査によると、ネコの飼育頭数は977万8000頭とイヌの879万7000頭を上回っている。直近のネコブームが始まったとされる2015年と足もとの2019年の飼育頭数を伸び率で比べても、イヌは約93%と減っているのに対し、ネコは約105%と増え続けている。

 ネコブームのなか、巷では、ネコをモチーフにしたさまざまなグッズが売られ、ネコを題材にした映画が公開され、ネコの写真展に大勢の人が訪れている。また、TikTokやインスタグラムなどのSNSには、可愛いネコの動画・画像が大量に投稿され、ネコとの暮らしを紹介するブログが増えるなど、ネコはネット上でも大人気だ。多くの日本人がネコを愛し、癒されていることがわかる。