欧州で高まる「金融緩和限界論」、2020年の日銀は教訓を生かせるか
マイナス金利の迷宮に入り込んだECB。金融緩和のレベルではECBを大きくしのぐ日銀は、その教訓を生かせるか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ECBが金融緩和の限界を
知らしめた2つのポイント

 2019年は、米連邦準備制度(FRB)が7月に2008年秋の金融危機以来となる利下げを行うなど、世界が金融緩和から脱却できない様子が鮮明となった。その一方で、金融緩和そのものの限界が強く意識されるようになった1年でもあった。特にそれを印象付けたのが、欧州中央銀行(ECB)の政策対応である。

 ECBは9月の定例理事会で、FRBに歩調を合わせるように金融緩和を強化した。量的緩和の再開、マイナス金利の深掘り、時間軸の延長などからなる包括的な金融緩和パッケージが用意されたが、同時にこの会合でECBは、金融緩和の限界を以下の2つの点を通じて世の中に問いかけることになった。

 1点目が、マイナス金利政策の限界だ。ECBはこの会合で、政策金利の下限である預金金利(銀行など金融機関がECBに預金を行う際に適用される金利)を年▲0.40%から▲0.50%に引き下げた。利下げを進めたという点では金融緩和の「強化」といえるわけだが、そこにはあるトリックも隠されていた。

 つまりECBは、マイナス金利を深掘りする代わりに、それを適用する超過準備の金額を事実上制限した。マイナス金利をタテの長さとするなら、超過準備の金額はヨコの長さに相当する。タテを長くした代わりにヨコを短くすることで、両者の掛け算で求められる面積がそれほど広がらないようにしたわけである。

マイナス金利政策の
解除を決めたスウェーデン

 ECBがこのような奇策を講じた背景には、マイナス金利の導入で収益が悪化した金融機関への配慮があった。そもそも政策金利は非負制約(マイナス圏には引き下げられないという制約)を持つとされてきたが、追加緩和の手段が手詰まりとなった結果、主要中銀は一部の政策金利にマイナス金利を適用し、金融緩和の強化を試みてきた。

 いわば実験医療ともいえるマイナス金利であったが、それが思ったほどの景気刺激効果を持たないばかりか、かえって金融機関の収益が悪化し、金融不安につながる恐れがあるという認識が広がるようになった。いわゆるリバーサルレート理論であるが、ECBもまたマイナス金利の弊害に配慮せざるを得なくなったわけだ。