大きな社会問題となった「カスハラ」

 2019年10月24日の毎日新聞一面で、「カスタマーハラスメント」が大きく取り上げられました。

 カスタマーハラスメントとは、顧客(カスタマー)からのクレームが、「お客様の声」として対応できるレベルを超えてハラスメントの領域に達し、従業員が心身ともに追い込まれてしまうことを意味します。

 同記事によれば、カスハラ被害を受けて精神障害を患った人は、厚生労働省が労災認定した分だけでも、過去10年間で78人にのぼり、そのうち24人もの人が自殺していたことが判明しました。

 度重なるクレーマーからの不当な言い分を聞きながら、日々の業務を遂行しなければならないという「がんじがらめで逃げ場のない」状況が、自死という悲劇を引き起こしてしまったのです。

 現在、カスハラが大きな社会問題となっているのは、多くの被害者が存在するからです。また、「いつ、自分に降りかかってくるかわからない」という潜在的な不安も増大しています。

 一見、善良な市民である「隣人」が凶悪な事件を起こすという現実を前にして、「体感治安」は日々悪化していますが、クレーム対応でも同じような不安感が蔓延しているのです。

カスハラが人手不足を加速させる

 本来、お客様からのクレームの多くは、サービスの向上に役立つ「ご意見・ご指導・ご要望」であるはずですが、いまや過剰なホスピタリティに慣れすぎた消費者が、「行き届いたサービス」を求めてモンスター化しています。

 サービスを提供する側が、顧客満足(CS=Customer Satisfaction)を追求すればするほど――便利な世の中になればなるほど――お客様の「満足」のハードルは高くなり、些細なことで怒りを爆発させる「モンスタークレーマー」が増加しているのです。

 たとえば、少し待たされることも許容できないほど、「我慢できない人」が増えています。また、ネットやSNSの急速な普及によって、瞬時に情報が拡散する社会になっています。