男性2人は午後10時前、ホテルを出たが、ゴーン被告の姿は確認されず。防犯カメラには2人が台車2台を使って大型の黒い箱2個を運ぶ様子が残されており、いずれかに身を隠していた可能性が指摘されている。

 2人は午後10時半ごろ、関空に到着。トルコに向かうプライベートジェット(PJ)に乗り込み、午後11時10分に空港を離陸したという。このPJにゴーン被告が乗っていたとみられている。

 そして、PJはトルコ・イスタンブールの空港を経由し、レバノンに入国した。

法やシステムの隙を突いた作戦

 2個の箱は音響機器用としてPJに持ち込まれたが、X線検査などは実施されていなかった。

 PJには箱絵2個の他、スーツケース3個、手提げバッグ4個が持ち込まれた。搭乗者名簿にはパイロットらクルーのほか、アメリカ国籍の男性2人が記載されていたが、ゴーン被告は含まれていなかった。

 米有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、この逃亡劇には複数の国籍の10~15人程度が関与。20回以上来日し、少なくとも国内10カ所の空港を下見して保安検査が甘い関空を選んだという。

 ゴーン被告は呼吸するための穴が開けられた音響機器用の箱に隠れ、PJに乗り込んだ。米陸軍特殊部隊グリーンベレーに所属した経験がある民間警備会社の関係者ら2人が手助けしたとしている。

 航空法は保安検査について「運航する航空会社の責任で実施する」と規定し、X線検査は義務ではない。だから特定の乗客しか搭乗しないPJではハイジャックの危険性がないことから、X線検査はほとんど実施しないとされる。

 関空では第2ターミナルにプライベートジェットの専用施設があり、出入国や税関の審査は各関係機関の職員が実施。荷物も事前に申告したリストに不審点がなければ、そのまま積み込まれるという。

 法やシステムの隙を突いた作戦で、組織的かつ計画的、大掛かりな逃亡劇。ゴーン被告側からすれば「してやったり」だろう。

 30日の声明では「私は今レバノンにいる。有罪が前提で差別がはびこり、基本的人権が否定されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなる」「私は裁きから逃れたのではなく、不正と政治的迫害から逃れた」と訴えていた。