>>【写真ルポ・上】から読む

NPOによる支援も
ホームレス減少に寄与

 もうひとつは、ホームレスや日雇い労働者を支援するNPOの活動の成果だ。

 西成のホームレス、日雇い労働者たちが“居場所”としているのが、2019年3月末に閉鎖となった「旧あいりん労働センター」周辺の路上である。ここに寝泊まりする彼らのために、地元NPOでは簡易トイレや簡易小便器を提供している。

ホームレス支援のNPOによって路上に設置された簡易小便器ホームレス支援のNPOによって路上に設置された簡易小便器
旧あいりん労働福祉センター閉鎖を反対する人たちによるバリケード旧あいりん労働福祉センター閉鎖を反対する人たちによるバリケード 拡大画像表示

 もっとも彼らは、行政によるセンター廃止を阻止すべく、昨年3月末から、ずっとこの路上を占拠している人たちだ。いつ行政による強制排除が行われるかもわからない身の上である。ホームレス支援活動を行っているという男性がその不安を語る。

「強制排除は他の都道府県なら、その都度必要に応じて行う。しかし大阪市は、たとえば真冬の寒い時、ここにいる人たちがこたえるようなタイミングで行ったり、年度末といったメディアが注目する時期に行って見せしめにする傾向がある――」

 年明け2020年1月2日の朝の気温は約3度だった。いくら布団を敷き、毛布をかけているといっても、体は芯から冷え、いくら暖を取っても、温まることはないという。

路上にある善意の毛布箱路上にある善意の毛布箱
24NPOによる越年時、ベッドと食事を提供する「あいりんシェルター」。平日は、「断酒」を目的とする場として機能しているNPOが越年時にベッドと食事を提供する「あいりんシェルター」。平日は、「断酒」を目的とする場として機能している