最初は、天職だと考え、ダメ出しをすることが相手のためになると信じて、一所懸命にダメ出しをしていました。しかも、証拠付きで。「何時何分5番テーブルで、○○君が料理のお皿を音を立てて置いた」「○○さんに笑顔がなかった」「お見送りが全然ダメでした。この伝票の時、担当者は○○さん」。このようにダメなところを全力で集めて伝えていたのです。

 報告書の総括の部分にダメ出しのダメ押しまでしていました。例えば、「お客様に聞こえない挨拶は、無視しているのと同じ」。また、店舗をワインに、悪いサービスを泥水にたとえ、「どれほど高級なワインでも、泥水が一滴でも入れば、それは泥水です」と、今読み直すと、背中が寒くなるような報告書を提出し続けていました。

 結論から言うと、どれだけダメ出しをしても、お店やその会社は良くなりませんでした。

 指摘されたところは改善するのですが、また別の悪いところがどんどん出てくる。やがて、依頼元の企業もダメ出しされ続けることに疲れたのか、調査依頼の打ち切りも続出し始めます。

「正しいことを伝えているだけなのに、必要なことなのに。改善しないとお店が良くならないのに」

 正しさを伝えながら、受け止めてもらえないという苦しみ。さらにもう1つの苦しみも感じ始めていました。それは、相手のダメなところを見つけて伝え続ける、私自身の心の苦しみです。

 相手のためと思い、ダメなところを伝え続けることにより、私自身の心もダメージを受けていたのです。

「正論はモチベーションを下げる」ということを痛感しました。ではどうすればいいのか。