昭和の「スター誕生!」、平成の「ASAYAN」など、これまでテレビのオーディション番組からは数々のスターが誕生してきた。そして令和の今、オーディションのありようは大きく様変わりし、テレビからスマホの動画・ライブ配信アプリへと主戦場を移しているようだ。(清談社 松嶋千春)
“デビュー”を目指さずとも
気軽に参加できるオーディション
事務所が開催し1カ所の会場に参加者を集めるような昔ながらのオーディションに取って代わり、初期審査の場として、動画・ライブ配信アプリが活用されるケースが増えている。
たとえば、中国発のアプリ「TikTok(ティックトック)」、オーディションに特化した「mysta(マイスタ)」、ライブ配信アプリ国内売り上げ1位の「SHOWROOM(ショールーム)」、同じく2位の「17 Live(イチナナライブ)」などだ。これらのなかには投げ銭機能を有するアプリも多く、オーディションのエントリー動画を視聴したファンによる応援や投げ銭のポイントに応じて、ランキング付けされるという仕組みだ。
Webメディア評論家の落合正和氏(「ネットメディア研究所」)は、オーディションがアプリの世界に土俵を移した背景について、次のように語る。
「必ずしもみんながプロを目指しているわけではなく、自分自身のブランド作りのために応募している人も多いと思います。身近なところでは『友達にマウントをとるため』という動機もあるでしょう。すでにたくさんのファンがついていて、PR案件や投げ銭で稼げている子であれば、わざわざ事務所に所属するメリットはありませんから、自分の顔を売る意味でオーディションに参加していると考えられます」(落合氏、以下同)
動画・ライブ配信アプリのオーディションのなかには、大々的に「デビュー」を掲げるものもあれば、単発でイベントに参加できる権利を得られる、にぎやかしのような募集も多々ある。たとえば、「雑誌に単発で載る」、「地上波のバラエティー番組に出られる」、「商品の広告塔としてSNSのアンバサダーになる」といったものだ。