デジタル技術の進歩は、社会全般にわたる新たな倫理上の課題を生み出している。そして今また、法の執行と、携帯電話データの暗号化によるプライバシー保護との間での、民主主義社会における争いが起きている。ウィリアム・バー米司法長官は13日、アップルに対し、政府のために2台のiPhone(アイフォーン)の暗号ロックを解除するよう要求した。その目的は、サウジアラビア人の空軍士官候補生が先月、フロリダ州ペンサコーラの海軍訓練施設で3人の水兵を射殺したテロ事件の捜査だった。バー氏は「今回の状況は、デジタル化された証拠へのアクセスを可能にすることが重要である理由を、明確に物語るものだ」と語った。このバー長官の発言は、政府によるテロ捜査に不可欠な情報の提出をアップルが拒んでいることを示唆している。しかし、米連邦捜査局(FBI)が13日に、ソーシャルメディアや一連の聴取、42テラバイトに及ぶデジタルメディアなど他の情報源から、多くの手掛かりが得られたと誇らしげに発表したこともまた事実だ。こうした手掛かりの中には、昨年9月11日に今回の銃撃犯がソーシャルメディアに投稿した、「カウントダウンが始まった」というメッセージも含まれていた。
【社説】米司法長官とアップルの争い
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