映される自由な一人暮らし
動画を見て疑似体験する良さ

 ルーティーン動画には、男性モノもある。20代のユーチューバー“かの/カノックスター”の動画も人気だ。彼は韓国ラーメン系ユーチューバーとして、韓国ラーメンを中心にさまざまなグルメを豪快に食べているが、その彼の私生活を載せたルーティーン動画も人気だ。

 家に帰り、鶏肉を使った荒々しい料理をつくり、フライパンから直接食べる。お酒も飲み、悪びれることなくゲップをする。その後、片付けをし、歯磨きをして就寝。シンプルな動画だが、その食べっぷり、飲みっぷり、そして自由気ままな生活っぷりに妙な中毒性がある。

 視聴者のコメントもおもしろい。「食べ方汚いのになぜか不快にならない」「お母さんが見たら発狂するような献立だな」「他人を気にしないで食べる食事、これ最高」など。

 彼自身がユーチューバーとして人気があり、その彼の普段の生活を見たくなるのは自然の心理かもしれない。また一方で、こういったルーティーン動画を見て「一人暮らしがしたくなった」「ダラダラ生活したくなった」といったコメントも多い。誰かと一緒に暮らしていたり、節制を心がけたりしていると、なかなか暴飲暴食はできない。その欲求を満たすため、動画で“疑似体験”している人も多いのではないか。

 ユーチューブで人気のキャンプ動画も、まるで自分がキャンプをしているような感覚になる点が好評を得ている。それに近い部分もあるだろう。

 そのほかルーティーン動画の例をあげると、子どもを持つ主婦の動画や、日本人と外国人のカップルの動画が人気を博している。

 これらは趣旨がわかりやすい。主婦の動画は、慌ただしい中で行う家事の時短術やお弁当の作り方など、ノウハウの参考になる情報がある。また、同じ主婦が大変さに共感する点も受けているのだろう。カップルの動画は、外国人と付き合っているからこその習慣や生活スタイルの違いが出てくる。

 ユーチューブは、動画というコンテンツにさまざまな新風を吹き込んでいる。そのひとつがルーティーン動画なのだ。かつては、アイドルや芸能人の私生活は「見えないもの」であり、むしろ見せなかった。

 しかし、ユーチューブではむしろ私生活、普段の日常をコンテンツとして配信している。そしてそれが受けている。まったく逆の方向性でコンテンツが発展しているのだ。動画の新しい価値観が生まれている好例だろう。

 人々のエンタメとして完全に定着したユーチューブ。まだまだこれからも、新しいジャンルの流行がどんどん生まれそうだ。