マイケル・テイラー氏
カルロス・ゴーン被告の逃亡を助けたとされるマイケル・テイラー氏(右)とジョージ・アントニー・ザイェク氏(左)。トルコのイスタンブール空港で撮影された。 Photo:ISTANBUL POLICE DEPARTMENT/Abaca/AFLO

年末の帰省ラッシュで慌ただしい先月29日、関西空港からプライベートジェット機が飛び立った。同機は離陸から約12時間後にトルコのイスタンブールに到着。搭乗していた面々はそこからレバノンのベイルートに移動し、日本時間の31日朝になってレバノンのメディアが「カルロス・ゴーン被告が日本を脱出して、ベイルートに到着した」と速報で伝えた。以降の騒動は誰もが知るところであるが、本稿ではゴーン被告の逃亡で大きな役割を果たしたとされる元グリーンベレー隊員、マイケル・テイラー氏にスポットを当ててみたい。元エリート兵士の波乱万丈の半生には、まだ続きがあるのだろうか。(ジャーナリスト 仲野博文)

レバノンとの接点は米陸軍特殊部隊の
一員として派遣された1982年が最初だった

 テイラー氏の経歴に関する米国とイギリスの複数のメディアの報道をまとめると、テイラー氏は米マサチューセッツ州の高校を卒業後、アメリカ陸軍に入隊。間もなくして陸軍特殊部隊群(通称グリーンベレー)の隊員となる。

 米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は1月18日、テイラー氏が「陸軍にいた義理の父親から、特殊部隊に入るための過酷なトレーニングについて行けないだろうと言われたが、俺は見事にやってみせた」と、テイラー氏が昔からの友人に語っていたことを報じている。

 テイラー氏とレバノンとの関係は1982年にまでさかのぼる。レバノン内戦が始まり、民主的に大統領に選ばれたキリスト教右派のバシール・ジェマイエル氏が爆弾によって暗殺された直後、米レーガン政権は特殊部隊をレバノンに展開することを決定。その最初の部隊の一員がテイラー氏であった。