すると「そんなわけないだろ、まじなんだって。スマホもすぐにスパイウェアみたいのが入るから、そのたびに変えてんだよ、あっ、お前、盗聴器が仕掛けられてるかどうかも調べられたりすんの?あれって道具買えば自分でもできたりするの?距離が離れてても盗聴できんの?実際見つけたことある?」と矢継ぎ早に質問されました。

「トシキさん、まずメニュー決めましょう、ずっとしゃべっているからまだなにもオーダーしてないです!」

 トシキさんは昔から、興奮しだすと周りがよく見えなくなるんです。

 私がナポリタンを頼むとトシキさんは「それだけでいいの?」と言い、ハンバーグセットとドリア、さらにピザも頼んでいました。

 料理が来ると全てに大量にタバスコをかけ「これがうまいんだよ」と言いながら食べていました。

 それから「さっきの話なんだけど、どうなの」と言ってきたので、「私は盗聴器の発見は可能です。今度道具を持っておうちに伺いますね」と言い、そのあとは簡単な近況を報告し終わりました。

テレビマンの自宅で
盗聴器を探していると…

 そして次の週の日曜日の夜中に、都内にあるトシキさんのマンションに行きました。部屋は最上階(12階)にありました。

 インターホンを押しドアを開けてもらうと、タンクトップ姿のトシキさんがいました。昔は雑然としていた1DKの部屋は、一人暮らしの男の部屋とは思えないほどきれいに掃除され、テーブルの隅に合わせてリモコンラックが置いてあり、リモコンが大きさの順に並んでいました 。

 そして部屋の隅にある作業机には、映像編集で使うための大きなディスプレーとマウスが置いてありました。

「部屋がすごくきれいで意外でした!」と言うと、「どういう意味だよ、がさつなやつだと思ってたのか」と言いながら、銀色のタンブラーに缶ビールを注ぎ私に渡してくれました。