【北京】米国は次世代高速通信規格「5G」網構築を巡る中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)排除への取り組みで、より長期かつ広範な戦いに備え始めた。締め出しを働きかけている各国から抵抗に遭っているためだ。事情に詳しい関係筋が明らかにした。
英当局者はこれまで、ファーウェイ機器の使用は制限するものの、禁止はしない考えを示唆。トランプ政権は英独の決定が鍵を握っているとみており、両国がファーウェイの使用を認めれば、他国も追随しかねないと懸念している。
「英国は安全保障において世界で最も緊密な情報パートナーだ」。こう指摘するのは、昨年11月まで米国家安全保障会議(NSC)で欧州問題担当の幹部を務めていたティム・モリソン氏だ。英国がファーウェイの5G機器を受け入れれば、「英国ができるなら自分たちもできると他国が考えるだろう」と話す。
ホワイトハウスは先頃、英国に幹部を派遣して、ファーウェイ製品使用によるリスクについてさらなる証拠を提示したが、英国を説得できなかった。英政府報道官は「米国側が新たに提示したような脅威についてはすでに把握しており、計画に織り込み済みだ」と述べた。英政府は来週、決定を下す見通し。
米国は、中国政府からスパイ行為やサイバー攻撃を指示されれば、ファーウェイは拒否できないと主張。大きな技術変革をもたらすとみられる5G網整備で、同盟国にもファーウェイ製品を使用しないよう求めている。ファーウェイは米国が主張する疑惑には根拠がないとして否定している。
米国のこうした働きかけにより、同盟国は中国から反発を招くリスクと対米関係を天秤にかけることを余儀なくされている。またファーウェイを排除すれば、5G網の構築が遅れ、コストもかさむ恐れがあると懸念している。
米国は英国との情報共有の見直しをちらつかせるが、英当局者はこれについては懸念していない。米政権と議会は、ファーウェイ製品の使用を認めれば経済関係に影響すると英国側に伝えることで、さらに圧力を強める構えだ。背景には、英国が欧州連合(EU)離脱後に、米国と貿易協定の締結を目指していることがある。