――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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中国の新型コロナウイルス感染拡大で工場の閉鎖が増えている。世界の産業サプライチェーン(供給網)への影響は何年も尾を引く可能性がある。
重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した2003年に比べ、世界の商品輸出に占める中国のシェアは今や倍余りに拡大している。広東省の18年輸出だけでも、17年前の中国全体の輸出量を上回る。
製造業者は以前から、春節(旧正月)の影響を嘆いていた。例年1月か2月に当たる連休中、中国の工場は稼働停止になるからだ。今年は保健当局のウイルス感染への対応により、連休が実質的に延長された。これに伴い中国の鉱工業生産も、一段と長期にわたって低迷する恐れがある。
ここ10年ほど、1月と2月の中国鉱工業生産は年間の残り10カ月の平均を20%余り下回り続けてきた。
作業員の休暇日数はさまざまだが、平均的な作業員が2週間丸々休みを取ると仮定すれば、2カ月間の稼働が2割下がるとして、連休中からその後にかけて鉱工業生産が通常の約5分の1の水準になるということだ。