平安時代の政界はみんな「藤原」さん?知れば知るほど面白い家紋と名字のルーツイラスト/さとうただし 拡大画像表示

■庶民の名字はどのように決めた?

 明治維新のあと、身分制度が撤廃される。明治8年(1875)、明治政府は戸籍管理のため「平民苗字必称義務令」を発布。

「平民も必ず苗字(名字)をつけ、祖先の苗字が不明であれば新たに苗字を設けるべし」と、誰もが名字を持つよう強制したのだ。 それまで使っていなかったから、勝手が分からず戸惑う人々もいた。「田んぼの中にあるので田中ではどうか」と、お坊さんに決めてもらうなどして、どうにか決められていったのである。

 田中もそうだが、現在の日本人の名字の9割は地名、地形、方位等に由来している。

 地形や風景由来の代表例には、星野や高橋、山田、山口など。方位や方角由来は西、東、南、北のほか、西崎や西村、乾、巽、前田、中川などがある。

 現代の日本には10万種以上もの名字があるという。漢字の字体や読み方が違うものも数えれば20万近くになると思われるが、同じ名字の文化を持つ中国や韓国が数百から数千であるのに対し、圧倒的に多い。もはや日本独特の文化ともいえるだろう。

 ちなみに、その呼び方には「氏」「姓」「名字」(苗字)と、いろいろあるが、役所の書類記入欄に「氏名」とあるとおり「氏」が正しい。

 しかし、今では「名字」や「姓」でも通じるし、明確に区別する習慣はなくなっている。

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 以上、「家紋」と「名字」のことをかいつまんで説明した。2月5日発売の『歴史道』Vol.8 の特集「家紋と名字の日本史」ではさらに詳細に触れている。

 家紋と名字の進化論、天皇に名字がない理由、菊紋・桐紋の誕生秘話から皇室紋の独占と解禁の裏事情。さらに、平氏由来を誇示する「揚羽蝶」、戦場にはためく「永楽銭」の旗印、覇王・信長はなぜ「7つの家紋」を使い分けたのか?――といった読み物も充実。日本人のアイデンティティ・家紋と名字がいかに生まれて広まり、ついには誰もが持つようになったのか。それらを知るために役立つ内容だ。

※参考文献/『決定版 面白いほどよくわかる!家紋と名字』(西東社)ほか

※紹介した紋は江戸時代になってから代表紋とされたもので、各氏の使用実態とは限らない

AERA dot.より転載