2万ドルで車を買う場合を考えましょう。

 車を買えば、2万ドルが消えることは誰でもわかりますよね。でも、ほとんどの人は、リースやローンで買うことの意味を理解していません。彼らがやっているのは、「この車を買うのに2万ドルなんて払いたくないよ。もっとたくさん払いたいんだ」と言っているようなものなのです。

〈レベル2〉
機会損失を考えよう

 おそらく、これまで考えたことがなく、しかし、ぜひ考えてもらいたいことがあります。それは、現金2万ドルで車を買ったとき、その車の費用は2万ドルよりはるかに大きいということです。

 あなたのために働いてくれるはずだったお金がなくなったことで、機会損失が生まれています。投資せずに何かを買ったとき、機会損失が生まれます。

 数字にすることは簡単です。そのお金でどんな投資ができたかを考えるだけです。私のお気に入りのVTSAX(バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド:全米株式インデックスファンド)を使ってみましょう。

 ここで知っていてほしいのは、VTSAXが株式市場全体を対象とするインデックスファンドであり、市場全体の平均利回り8~12%を反映していることです。だから、市場を代表する形で機会損失の具体的な数字を教えてくれます。

 控えめに8%の利回りとしましょう。2万ドルを利回り8%で運用すれば、1600ドルの利息が得られます。つまり、2万ドルで車を買ってしまうと、実は2万1600ドルを失っているのです。

 最初の2万ドルと、それが生み出すはずだった1600ドルの合計です。

 これは1年目だけの話で、この機会損失は毎年上乗せされます。10年間で考えると、1600ドル×10年で1万6000ドル、最初の2万ドルと合わせると3万6000ドルになります。