野口啓代選手
「過去最高のパフォーマンス」を目的に掲げ2019年8月、八王子で開かれた世界選手権に臨んだ野口啓代選手は、日本人最高位になり、東京五輪内定第一号になった Photo:Toru Hanai/gettyimages

社運をかけた重要なプレゼン、第一志望の会社の最終面接など、人生には「ここ一番の勝負どころ」がありますが、どんなに頑張っていても本番で100%の力を出し切れなかった経験もあるのではないでしょうか。本番でのパフォーマンスの質を高めるのに重要なのは、スキルや経験ではなく「心の状態」です。心の整え方を知っていると、「リラックスしながらも最高に集中できる」というよい状態で本番に臨めるようになるのです。そこで前回に続き、スポーツクライミング日本代表選手など、メンタルコーチとして数々のアスリートをサポートしてきた東氏の『いつでも100%の力を発揮できる心の整え方』(青春出版社)から、実際にアスリートたちが試合前に実践している「心の整え方」を紹介します。

集中力が一瞬で高まる「アイコントロール」とは

 心を整え、集中力を高める方法として、私がアスリートによく伝えるテクニックとして、「アイコントロール」があります。方法はシンプルで、なにか特定の対象に視線を凝らすこと。そうすることで、その他の視覚情報を意識から切り離すことができ、目のまえのことへの集中力を取り戻すことができます。

 脳に入ってくる外的情報の約80%は視覚によるもの。聴覚から入る情報は10 %、味覚、触覚、嗅覚からの情報は、合計で6%ほどにすぎないという研究結果があるのです。つまり、目から入ってくるおびただしい量の雑多な情報によって気が散り、パフォーマンスに集中できないことはよくあります。