自らの力で社会を変えたい──そんな情熱や使命感を抱いて活躍する若きリーダーたちは、どんな原体験に支えられ、どう育ってきたのか。今回は、「Z世代」の価値観・視点を生かした学生発イノベーションのプロジェクトを次々に立ち上げるdot代表の冨田侑希さんです。全ての始まりは学習院大学での「起業論」の授業でした。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

高校時代に急逝した父
「真剣に生きろよ」との言葉

仕事とは学びの過程、大学で受講した「起業論」が“普通の子”の価値観を一変させた/冨田侑希・dot代表Photo by Masato Kato 拡大画像表示

──1996年生まれですね。

 96~2010年生まれを指す「Z世代」の一番上で、SNSネーティブとも呼ばれる世代です。

 ただ私は、携帯電話は小学校の頃から持っていましたが、スマホを使い始めたのは遅くて、大学に入ってからです。大学ではLINEがないとやっていけないので、SNSはLINEから始めて、それからTwitter、Instagramなどを使うようになりました。

──どんな家庭で育ちましたか。

 千葉県佐倉市で、両親と兄と暮らしていました。家は自営業、呉服屋さんでした。父の父も呉服屋さんでしたが、父は独立して店を持ちました。母は時々、店を手伝っていました。そんな家庭なので、サラリーマンの家がどんなふうなのか、分かっていませんでした。

 父は、子供よりもテンションが高いというか、友達みたいなところがありました。土日も仕事だったので、店に遊びに行ったり、平日は一緒に工作をしたりゲームをしたりしていました。

 母は、緩い感じのキャラクターです。私は見掛けは父に似ていて、性格もそうだと思っていたけれど、母に似ていると言われることも増えて「そうかな」と。そんなにうれしい気はしないです(笑)。

──将来の夢はありましたか。

 幼稚園の頃、看護師になりたいと言うとおばあちゃんが喜んでくれたので、そう言っていたのを覚えていますが、将来何になりたいとかはなかったです。

──高校は県立千葉女子、明治期に開校した伝統校ですね。