3.11後の国民的なエネルギー選択

たかはし・ひろし/1993年ソニー入社、2000年内閣官房IT担当室主幹、2007年東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2009年より現職。学術博士。経済産業省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会委員、同電力システム改革専門委員会委員。著書に『電力自由化 発送電分離から始まる日本の再生』 (日本経済新聞出版社、2011年)など。

 2011年3月の福島第1原子力発電所事故を受けて、菅前首相は「脱原発依存」を掲げ、原発の発電量比率を半分にまで高めるとした「エネルギー基本計画」を白紙見直しすることを決めた。これを受けて野田内閣では、昨年秋から新たなエネルギー・環境の「選択肢」について議論を進め、6月29日に3つの「選択肢」を発表した。

 それらは、2030年までに0%、15%、20-25%まで原発比率を下げるというものである(図1)。原発の比率に応じて、再生可能エネルギー(再エネ)や化石燃料の比率が異なり、その結果、エネルギー安全保障や地球温暖化、更には国民生活や産業構造も影響を受ける。7月から8月にかけて、政府はこの3つのシナリオに関して「国民的議論」を展開し、将来世代のことや国際的な影響も考えて、「国民的な選択」を行うという。

【図1】 エネルギー・環境に関する3つの選択肢  

 筆者は、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の委員として、この選択肢の原案を策定する議論に参画してきた。その経験も踏まえ、3つの選択肢に至った論点を説明すると共に、最終的な選択肢の形に反映されなかった、「システム選択」という考え方を披露したい。