草食系が増える一方で
超早熟な子も増加

 性的関心の低下にともない、デート、キス、性交などの性行動経験率が下がっているのは想像に難くない。しかし、それらの数値がなぜ下がったのかとなると、原因を特定するのは相当難しいと林氏は言う。

「性交の経験率にしても、『あなたはなぜセックスしないんですか?』といった質問に対して、単純に『恋人がいない』というのが一番多い回答。そうすると、次に恋人がいない要因は何なのかとなり、さまざまな理由が考えられます。しかし、『スマホの普及によって異性と対面せず気軽に交流できるため、恋愛する意欲がなくなった』といった論は、因果関係があるのか断言できません。というのは、携帯電話が普及し始めた90年代後半~2000年代前半も同じようなことがいわれていましたが、その当時はむしろ性活動が活発化しているので、そのロジックは成り立たないのです」

 これまで、若者の草食化について述べてきたものの、林氏は、正確にいうと草食化というよりも、分極化が進んでいると指摘する。

「性交の初経験年齢に関していえば、絶対数はもちろん少ないとはいえ、10代前半と回答する子が年々、やや増加傾向にあります。その一方で一般に経験していると思われる年齢でも未経験の人が増えている。性的経験が早い人、遅い人といった二極化といわれることもありますが、厳密にいえば、性交経験がなくてもいずれ経験したいと思っている人もいれば、これからしなくていい人もいるなど、いくつかに分類でき、バラツキがあることがわかったのです」

『青少年の性行動全国調査』でわかったことは、若者全体が草食化しているというよりも、「草食系の若者が増えている一方で、性に早熟な肉食系も増えている」と見るのが正しいようだ。

 草食化が進んでいるという世間一般のイメージではなく、確かなデータに基づいた理解が必要だろう。