アーノルド・ホプランド医師(75)は長年、米テネシー州エリザベスタウンで一次診療医を務め、感染防止の知識もあるつもりだった。だがクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で実施された隔離方法は、適切とは思えなかった。乗客として乗っていたホプランド氏の船室には、多いときで一日に10回も、食事や必需品、励ましのチョコレートを持った乗組員がやってきた。乗客たちはマスクもせずにバルコニーで洗濯物を干していた。バルコニー越しに身を乗り出して隣室の乗客とおしゃべりする姿もあった。2週間の隔離期間は19日で終了するが、こうした穴だらけの隔離の結末が明らかになりつつある。日本政府の発表によると、18日時点で新型コロナウイルスに感染した乗客・乗員は500人を超えた。隔離による感染阻止が失敗に終わったことを示す新たな証拠が提供された形だ。