2月20日発売の『週刊文春』に、和泉洋人首相補佐官と大坪寛子厚生労働省官房審議官を巡る例の事案の続編の記事が掲載された。ここで見逃せない点が、和泉首相補佐官による国家公務員幹部人事に関わる専横ぶりだ。なぜそうしたことが可能となってしまうのか。元総務省官僚でもある筆者が解説する。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
和泉補佐官の恫喝が
AMEDの幹部らの心胆を寒からしめた理由
2月20日に発売された『週刊文春』に新たな「文春砲」が掲載された。和泉洋人首相補佐官と大坪寛子厚労省官房審議官を巡る例の事案の続編である。その詳細な内容については同誌をお読みいただくとして、今回問題とされているのは、和泉首相補佐官が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」という)の理事、執行役および経営企画部長を自らの執務室に呼びつけた上、自分の言うことと、内閣官房健康・医療戦略室の大坪次長の言うことを聞いてうまくやらなければ、人事を動かす、具体的には、「所管府省からの出向ポストを他の府省に振り替えるぞ」といった類いの「恫喝(どうかつ)」をしたというもの。
そもそも内閣総理大臣補佐官は内閣法第22条に基づき置かれた、「内閣総理大臣の命を受け、国家として戦略的に推進すべき基本的な施策その他の内閣の重要政策のうち特定のものに係る内閣総理大臣の行う企画及び立案について、内閣総理大臣を補佐する」ことを職務とする官職であり、制度上人事に関する権限はないし、明大の田中秀明教授が「文春砲」において指摘されているとおり、そもそも指揮命令権はない。