その営業所にはAさんと部下6人の計7人のメンバーが在籍している。Aさんは有能な人であり、チームをマネジメントしながら自分でも多くの契約をとってくる。それも常にトップレベルだ。

 まさにスーパー・プレイングマネージャーだった。

 ただ、Aさんは欠点もあった。かなり傲慢で自己顕示欲の塊のような人であった。要するに「俺が俺が…」というタイプで、常に周囲の人々から注目され認められたい、という承認欲求が強い。

 だから絶対に手柄は部下に渡さない。「手柄はすべて俺のもので、失敗は部下のせい」といった傾向があった。

 当然、これには不満を持つ部下たちもいた。しかし、直属の上司には逆らえない。ほとんどのメンバーはかなり我慢している様子だった。

 またAさんは部下たちに対して「俺がいなければ成り立たない」といった言い方をしていた。自分がチームを牽引していると自負しているからだ。結果が出ている分、誰も文句は言えなかったのだ。

AさんとBさんの立場は
なぜ逆転したのか

 ところが、ある時のこと、このエリアにもう1つ営業所を増やすことになった。

 そこで、Aさんは新営業所の立ち上げを任されることになった。これもやりがいのある仕事である。

 その間は、部下のBさんが期間限定で今の営業所のマネジャーをすることになった。はじめのうちAさんは「俺がいないと成績はガタ落ちするだろう」と読んでいた。

 ところが、営業所の成績は一向に下がらない。それどころか、徐々に上がっていくではないか。その上、「営業所の雰囲気がグッとよくなった」と評判になった。