なぜ企業で働く人は、ミドル・シニア期(40・50・60代)に入ると、言い知れぬ「停滞感」を抱き、職場での「居場所」を失っていくのか? 経験談や持論が渦巻くこの領域に、ついに「4700人のビッグリサーチ」による"科学のメス”が入った――。

□ 42.5歳の「壁」を軽々と超える人は、何をしているのか?
□ 50代前半の「霧」のなか、職場内で「居場所感」を得るには?
□ 60代・定年後に「上昇気流」を呼び寄せる人の共通点とは?

史上最大レベルの大規模データに基づき、会社人生を「仕切り直す」22の心構えを導き出した最新刊『会社人生を後悔しない 40代からの仕事術』のなかから、一部抜粋してお送りしよう。

元後輩が自分の上司になったとき、「飲みニケーション」よりはるかに大切なこと

「うまくやる=仲よくなる」ではない

「来週あたり、若手を飲みに誘ってみようかな……」

社内でなんとなく居場所がなくて、そんなことを考えているミドル・シニアの人はいませんか? もちろん、人間関係はいいに越したことはありませんが、ミドル・シニア期における「年下とうまくやる」は、若手と飲み仲間になるような「親密さ」というよりは、仕事上の「信頼」を意味すると考えたほうがよさそうです。

[図表3-4]をご覧ください。こちらは、われわれのパフォーマンス(自走力)を左右する要因のうち、「上司・同僚との関係」に絞って分析をしてみた結果です。

自走力に影響を与える「上司・同僚との関係」

ご覧のとおり、職場の同僚たちと「プライベートでも交流がある」ことは、自走力を高める要因にはならないことがわかっています。また、「友達として持ちたい感じ」のような上司との親密さは、むしろマイナスに影響してさえいました。一緒に飲みに行ったり、休日に一緒に出かけたりといった人間関係を築いていたとしても、ミドル・シニア期の自走力は高まらないのです。

他方で、個人の自走力を高めるうえで有効なのが、職場メンバーとの「仕事上の情報交換」です。つまり、交流は交流でも、仕事に関する交流なのです。

職場のメンバーそれぞれがさまざまな背景を持って働く多様化の時代にあっては、終業後にみんなで連れだって飲みに行くのはなかなか難しくなりました。

だからこそ、プライベートな交流に頼らずとも、きちんと仕事上の情報交換ができるかどうかが重要になるのでしょう。

では、年下、年上など年齢にこだわらずに、仕事上の情報交換ができる信頼関係を築くためには、どうしたらいいのでしょうか? ここからは、とくに上司・部下というマネジメントの局面にフォーカスしながら、「年齢の壁」を越えるために必要なことを見ていきたいと思います。

"年齢逆転のマネジメント”が直面する「すれ違い」

現代の職場においては、「役職と年齢の逆転」はありふれた現象です。ここにおいては、さまざまな「すれ違い」が生まれます。