全米で人気の投資家ブロガーが、10代の娘に向けて書いた『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』(ジェイエル・コリンズ著、小野一郎訳)がついに日本に上陸した。アメリカのFIREムーブメントの火付け役となった1冊だ。FIREとは、Financial Independence, Retire Early の略語で、若いうちに経済的自由を獲得して、早期リタイアを実現しようというもの。
原著はAmazon.comで1000以上の評価がつき、星5つ中、平均4.8というハイスコアで、読者の評判はすこぶる高い。今回、日本語版の一部を特別公開しよう。

経済的自由を手に入れた私が「ドルコスト平均法」を好まない理由Photo: Adobe Stock

市場下落リスクを回避する代わりに
上昇相場でのコスト増を負う

 人生の中では、大きな金額を手にして、投資に回すという、うれしい悩みを抱えることがあるかもしれません。遺産を相続したとか、ほかの資産を売却してお金が入ったとか、どんな理由であれ、全部を一度に投資してしまうことは、怖くてあまりできないのではないでしょうか。

 市場が上げ相場で、連日、高値を更新していたら、価格は上がりすぎているように見えるでしょう。下げ相場だと、どこまで下がるかを見通せないまま投資することに不安を感じるでしょう。もう少し見極めたいと思って様子を見ようとするでしょうが、見極めがつく日は絶対に来ません。

 この悩みへの最も一般的な回答として、ドルコスト平均法があります。資金を少しずつ市場に流し込むのです。もし市場が暴落した場合には、あなたの痛みが少し和らぐという考え方です。

 私はこの考え方が好きではありません。まず、それがどんなものかを見てみましょう。

 ドルコスト平均法では、資金を均等な額に分割し、一定の期間に少しずつ投資していきます。

 あなたが手元に12万ドルを持っていて、VTSAX(バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド:全米株式インデックスファンド)への投資を考えているとします。

 あなたは市場が大きく変動するものだと理解しています。市場は突如、暴落します。それは12万ドルを投資した次の日に起こるかもしれません。よくあることとは思えませんが、そうなったら、とても惨めになるでしょう。そう考えて、あなたは全額を一度に投資することをやめ、ドルコスト平均法でこのリスクを回避しようとします。