まず12万ドルを投資する期間を決めます。たとえば、これから12ヵ月としましょう。資金を12分割して、毎月1万ドルを投資します。

 最初に投資した直後に市場が下落した場合、手元に残っている11回分の資金は、初回の投資よりもよい成績を上げられるかもしれません。いい感じですね。

 これで、一度に投資することで生じるリスクを回避できます。ただし、これがうまくいくためには、あなたが投資を始めた日から市場が下がり、期間中の平均投資コストが最初の日よりも低い状態であることが必要です。

 市場が上がると、一度に投資した場合よりも損をします。投資したあとに市場が下がるリスクを回避する代わりに、市場が上昇を続けてトータルの投資コストが上がるリスクを負っていることになります。

 さて、どちらのリスクのほうが起こる確率が高いでしょうか。

 過去のダウ平均株価のチャートを見ると、市場は基本的に上昇傾向だが、途中の道のりは大きな変動を伴うことがわかります。また、上昇している期間のほうが下落している期間より長いこともわかります。1970年から2013年までを見ると、43年間のうち33年間、市場は上昇しています。全期間の77%です。

そもそもドルコスト平均法を
考える必要はない

 さて、私がドルコスト平均法を好まない理由はもうおわかりでしょう。

(1)ドルコスト平均法を採用したあなたは、市場が下落し痛みを軽減してくれるほうに賭けています。どの1年間を見ても、あなたの思ったとおりになる確率は23%以下です。

(2)77%強の確率で市場は上昇します。その場合、ドルコスト平均法では、得られる利益が減少します。分割投資のたびに、より多くのコストを支払うことになります。